心の筋肉のトレーニング

今野誠一のblog


義父が特別養護老人ホームに入って1年が経つ。
北見の自宅の自分の部屋を明け渡して、自宅介護も覚悟していたが、脳梗塞の後遺症で、物が食べられず、話ができず、寝たきりの状態で素人の介護は無理との判断で、完全介護の施設入居に踏み切った。
幸い自宅の近くの施設に入れることになり、施設の面会の規制も緩いことから、妻と一緒に毎日通ってコミュニケーションを取るようにし、妻はマッサージしたり、顔や手足にクリームを塗ってあげたりできるだけの寄り添いをしている日々だ。
そんな日々の中で、自分自身の共感力について考えることになっている

【共感の3タイプ】

この施設の前のリハビリ病院で「これ以上の改善は望めない」と言われたものの諦めきれず、なるべく話しかけ話してもらって、積極的にコミュニケーションを取ることで、話せない状態の改善を目指している。
おかげで、かなりの意思疎通ができるようになった。
そんな取り組みの中で、「共感の3タイプ」について考えることになった。

「共感の3タイプ」というのは、次の3つのことだ。
■認知的共感:他者の視点を理解する力(他者の行動の根拠と内容を理解する)
■情動的共感:他者の感情を汲み取る力(+自分の反応にも注意を向ける)
■共感的関心:相手が自分に何を求めているかを察知する力

この3つを振り返る時、毎日義父の元に通ってコミュニケーションする中で、とても鍛えられていることに気づいた。
父が介護士さんとやり取りしている瞬間にもいつも遭遇するが、やり取りを見ていて「義父はどうしてああいうことを介護士さんに言ったんだろう?」「どうして、ああいう行動を取ったんだろう?」と思って想像力を働かせる機会になる。これは「認知的共感」に当たると思う。

義父と一対一で会話する時には、とにかく何を話しているか集中力を持って臨まなくてはならないんだけど、特に注意しているのは感情の動きだ。嬉しいのか、楽しいのか、悲しいのか、苦しいのか、神経を研ぎ澄ませていないと感じ取れない。これはまったくもって「情動的共感」に当たる。

そして、いる間に義父が我々に何かしてほしいことはないのかを聞くのは、一番重要な役目だ。あそこが痛いここが痛いというのを介護士さんに言えずにいることもあるし、「誰々に○○を伝えてほしい」という、親類縁者への伝言もあるし、家のことで心配なこともある。これらを聞くのは「共感的関心」に当たるだろう。

義父と向き合いながら、共感力が鍛えられている実感がとてもあるが、逆に言うとこれらの共感力をもっと磨いていかないと、ただ通っているだけでこれ以上義父の役には立てないような危機感も感じた。

【「集中力」と「面倒くさい」という心】

義父と向き合いながら、共感力に加えて感じるのは、「集中力」の重要性だ。

上に書いた3つの共感力を発揮するためには、何しろ「集中力」が必要なんだ。
出張帰りで疲れていたり、前の晩に寝不足でしんどいような時は、どうしても集中力に欠けてしまう。
上の空なんてことはないんだが、義父の言っていることがいつもの半分も理解できないことがある。

この「集中力」ということで言えば、職場で上司が部下に向き合う時にも同じことが言えるように思う。
クライアント企業で、社員のインタビューをしていると「上司が自分の話をスマホを(あるいはパソコンを)見ながら聞いている」とか、「上の空で聞いてもらえていないことが分かる」という話をよく聞く。
これらは、本人に悪気がなくても「集中力を欠いている」時に起こっていることのように思う。

もう一つ思いが至るのは「面倒くさい」と思う心のことだ。
義父と寄り添うのが移住の目的なので、自分なりに一生懸命取り組み、向き合っているつもりなのだが、仕事も抱えているし、自分のやりたいこともたくさんあるし、時折、施設に通い義父と向き合うことを「面倒くさい」と思う時がある。

先ほどの、上司が部下の話を聞く時にスマホを見たり、パソコンから視線を移さなかったり、上の空になる時というのは、部下と向き合うことを「面倒くさい」と感じているということもあるんじゃないかと思う。

ここまで言ってきた、「共感力」と「集中力」、そして「面倒くさいという心と闘うこと」を「心の筋肉」と呼び、鍛えなくてはいけないと考えるようになった。集中力に大きな影響力を持つのは「面倒くさい」という心であり、「面倒くさいという心との闘い」が一番重要なのではないかと考えるようになった。

【「心の筋肉」のトレーニング】

学校法人ノートルダム清心学園理事長の「渡辺和子さん」の講和を聴く機会があった。
彼女のお話の中で自分に一番響いたのが「面倒だからしよう」というフレーズだった。

渡辺和子さんは言う。
・面倒だからよそう、面倒だから他の人にしてもらおう、ではなく、面倒だからしましょう
・(女子学生に対して)美しくなるためには、「面倒だからする」ことが大切です
・面倒だと思ったら、座ってお礼状を書きましょう
・面倒だと思ったら、洗面台に自分の髪の毛が落ちてないかどうかを見て、そして髪の毛を拾って出ましょう
・面倒だと思ったら、こぼしたお水を拭いておきましょう
これを聞いて、唸ってしまった。

「面倒くさい」という心に打ち勝つ唯一の方法は、「面倒だと思ったら、しよう」だと言っている。
これは、もう実践するしかない。
自分の中で、今、面倒だと思っていることは何かを考えた。

【圧倒的に発信する】

今、自分が面倒だと感じていることは「発信活動」である。
元々、ブログを毎日書き、SNSも同世代の中では積極的に活用してきたつもりであるが、最近、どうにも面倒に感じられて、滞りがちになっている。
嫌いじゃないのに、億劫になっているのは、これはもう加齢のせいとしか考えられないではないか。
肉体の「筋肉」が使わなければ一気に衰えていくと同様に、「心の筋肉」も、鍛えなければ衰えていくことは、たやすく想像できることではないか。

そこで、今、最も面倒だと感じている「発信」を徹底的に、圧倒的レベルで取り組んで「面倒な心」を克服しようと考えた。

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の7つのツールについて圧倒的発信をしていくことを、当面の優先順位一番として取り組んでみようと思う

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