組織戦略勉強会に高校生が
先日オンラインで「組織戦略勉強会」を開催させていただき、50名様にご参加いただきました。
20年余の組織コンサルティングで感じていることと、コロナ禍の今こそ必要なことについて話をさせていただいて、皆さんに意見交換していただきました。
たくさんの方がアンケートをお寄せくださいました。
「いい機会だった」という方も多くいらっしゃった一方で、「もっと具体的な話が聞きたかった」「分科会にもっと時間を取ってほしい」などのご意見も色々いただきましたので、今後の改善に努めていきたいと思います。
ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。
アンケートに書いてくださった方もおられましたが、当日印象的だったことのひとつに、4名の高校生の方が参加して、存在感を示してくださったことがあります。
なぜ組織戦略勉強会というような経営者や管理職が集まるような場に、高校生の方が参加するということになったのか? その経緯をお話しします。
あるイベントでの高校生との出会い
私は、複数のコワーキングスペースに登録して利用しているんですね。
そのうちの一つのコミュニティーで「入居会社のイターン生の懇親会」という変わったイベントがあったんです。
自分のところにインターン生はいないのですが「社会人の先輩として参加して話をしてほしい」と要請を受けまして、面白そうだったんで参加しました。
何回か席替えをしながら、交流したんですが、その中になぜか高校生と、難関校専門の進学塾の講師の方がいたわけなんです。
16歳という高校生君と話をしていて、私は度肝を抜かれましてね。
彼は、「若者と政治の距離を近づける」という団体で活動しているんだとか。
彼の名刺には・・・
1.若者の政治への入り口を作ります。
2.選挙に行きたくなる仕掛けを作ります。
と書かれていました。
聞けば、起業している高校生もいるんだとか。
いやはや、何ともすごいパワーと意識ではありませんか。
すごいなあ、と感心してその日は終わったんですが、翌日塾の講師の方から連絡をいただいてZoomで話をしました。
進学塾での講義の体験
彼の用件は明快でした。私に特別授業の講師をしてほしいというのです。
「塾で、ビジネスの第一線で活躍をしている専門家に学ぶスペシャルプログラムを考えている」
「ついては来て話してもらえないか?」というではありませんか。
ちょっと逡巡しちゃいました。
組織戦略コンサルティングというマイナーな仕事を、高校生の皆さんに理解してもらえるものだろうか、と。
少し考えて、「面白そうなのでとにかく引き受けてから、後で内容は考えよう」と決めてそのZoom会議のうちに引き受ける返事をしました。
この決断を後から少し後悔することになるのですが・・。
七転八倒の講義準備
講義の準備をしていて、とにかく悩ましかったのが、日頃コンサルティング現場で何気なく使っている用語たちの定義についてでした。
「事業戦略」「組織戦略」「人事制度」「組織風土」「HR」「HRM」「エンゲージメント」・・・・・。
これらの言葉の意味をイチイチ説明していたのでは、それだけで授業が終わってしまいます。
思い切って、そのような専門用語は極限まで使わないようにしました。
事業戦略と組織戦略のストーリー作りや、そのための役員の皆さんとのワークショップなどのことも、図を多用し、極力簡潔に話せるように腐心しました。
企業でやっているビジネスパーソン向けの講演準備の5倍ぐらい時間がかかることになりました。
普段当たり前に使っている専門用語を使わないで説明したり、誰でもわかっているという前提で雰囲気で伝えていたことを、吟味して分かりやすく伝えるということは、大いに思考の訓練になります。
本当にいい経験をしました。
積極的な生徒さんたち
当日はですね、それはそれは楽しかったです。
皆さんの熱心な聴く態度が素晴らしかったからです。
うなずき、目を見開いたりの表情、拍手、爆笑、苦笑、とても生き生きした生徒さんたちでした。
日頃講師の先生方がどんな授業をしているのかが、分かりました。
そしてそして、一通り話した後の質疑応答がまた積極的です。
私の話に沿った質問もあれば、普段の人間関係やチームの中での立ち居振る舞いでの悩みの相談もあり、臆することなく何でもありです。
時間が来て質疑応答が打ち切られ、主催講師のご挨拶でお開きとなりましたが、そこで終わりません。
一人の女子高校生が、つかつかと後片付けをしている私に寄って来られて「ツーショットお願いしてもいいですか?」と。
それをきっかけに我も我もと、ツーショット撮影会の列ができました。
皆さんの、不思議なエネルギーを強烈に感じました。
名刺を持っている生徒さんも何人もいて、名刺交換もしました。
中に、かの有名なN高等学校の生徒さんもいました。
彼は、U18career summitという高校生のキャリア活動の運営本部のマネジャーをしているんだそうです。
『「なんとなく」から卒業だ』というキャッチフレーズで、自分達のキャリアを「なんとなく」でなくクリアにする活動を積極的にやっているんだそうです。
会場を後にする時には、普段の5倍の準備の疲れや、講義の疲れなどは完全にどこかに吹っ飛んで、嬉しくて仕方がない状態になりました。
組織戦略勉強会への参加
折りから、「組織戦略勉強会」というイベントを計画していまして、塾も「組織」ですから何か参考にしてもらえるのではないかと思い、講師の方を通じて「勉強会に参加しませんか?」とお誘いしました。
どちらからともなく「組織戦略の話をあれだけ前向きに聞いてもらえたんだから、塾の生徒さん方にも声をかけてみては」ということになりました。
講師の皆さんが生徒さんたちにお声がけくださって、なんと8人もの生徒さんが手を挙げてくださったと連絡をいただきました。
私からの組織戦略についての情報提供、問題提起の後に、Zoomブレイクアウトルームでグループディスカッションがある前提で、8人もの高校生の皆さんが手を挙げられたことに、久々に大きな感動を覚えました。
塾外の模試の予定などの都合もあり、最終的に組織戦略への参加は4名となりましたが、高校生の皆さんは存在感を示してくれたようです。
終了後にアンケートをお願いしたのですが、ある高校生のアンケートを本人の了解を得て、掲載します。
ほぼ(趣旨を変えない形で少し整えたところがあります)原文のままです。
ある高校生のアンケート
たくさんの方からアンケートへのご回答を得ました。
高校生の皆さんからもいただきました。
以下が、ある高校生からのアンケートです。
なんと、大学生中心の学生団体のアドバイザーで、2年間チームビルディングに携わっているというではありませんか。
大人と遜色ない書きっぷりに、脱帽です。
■勉強会ではどんなことが印象に残りましたか?
高校生である私が参加していたからというのもあってか、組織の話で終わらせず最後に個人まで話を落とし込んでくださったのが印象的でした。
現在、私がアドバイザーとして組織運営に携わっている学生団体然り私自身、差別化をしていかないと生き残れないというか、選んでもらえないということを痛感しました。
■次の勉強会があった際に聞いてみたいことがあるとしたら、どのようなことでしょうか?
・今野さんが考える上手く回る組織の特徴
・理念は一緒でも重視する物が違う時(例えば、結果を求める成果主義と楽しさを求める感じ)、どんなふうに折り合いをつけた組織運営をしていけばいいのか
■その他、ご意見・ご感想、メッセージがございましたらご記入をお願いします。
塾での特別講義に引き続き、興味深いお話をありがとうございました!
学生団体という利益も発生しないような団体ですが、そこで2年ほどチームビルディングに携わってきた私にとって、組織戦略はもともと興味深かったのですが、今野さんのお話を聞けば聞くほどもっと勉強したいと思うようになりました。
また今私が躓いている課題へのアプローチ法も昨日明確にできたので早速実践します!
昨日はほんとうにありがとうございました!!
今時の若い者は
教育に携わっている方からすれば、もうすでに感じておられることかもしれませんが、この22年間、企業人としか接していなかった自分にとっては、衝撃的でした。
もちろん特定の高校生の皆さんと接しているということは理解しています。
それにしても、物事をよく考えていると思います。
特に世の中のことをよく考えている。
その上で、自分のキャリアも冷静に考えていると感じました。
経験がないのは当たり前ですが、
「今時の若い者は・・」の後にはネガティブなフレーズが続くのが、昔は当たり前でしたが、今日(きょうび)はそんなことを言っている場合ではないのではないか。
今どきの若者は末恐ろしい。底知れぬ可能性を感じた経験でした。
ベテランこそ、長くビジネス界で生きている我々こそ、彼ら彼女らと接点を持つべきだと確信しました。
幸い、ご縁をいただいた塾の講師の皆さんのご配慮で、授業の一環として「今野誠一と語る会」のような場を設けてくださるとのこと。
今後も継続して特別講師として招いてくださるそうで、高校生の皆さんとの接点を楽しみにしています。