部下に寄り添う「型」

今野誠一のblog


「部下に寄り添う」という言葉を管理職の皆さんは簡単に使います。

しかしながら、それを具体的にきちんとできている人は、とても少ないのではないかと思います。

傾聴力という、コミュニケーションの基本を大事にしようと、聞いているだけだったり・・・。

一緒に「漠然と」悩んであげるだけだったり・・・。

このこと(聞いてあげる、共に悩んであげる)に意味はないとは言いませんが、寄り添うことの「型」を身に着けたら、もっとうまくいくと思うんですね。

目標達成に向けて順調にいっていない部下の多くは「負け癖」がついて、抜け出せなくなっている人が多いんですね。ぶつかってしまった壁を前に途方に暮れている状態なのかもしれません。

こういう場合の寄り添い方は「成功体験を経験させる」ということが必要です。

型はスリーステップです。

部下に寄り添う3ステップ

1.どういう目標なのかを一緒に認識する


目標の難易度を認識しておくことが重要ですね。

その目標の達成のために、本人にはどういうことができて、どういうことがやろうと思っても難しいのか。

どのくらいの努力をすれば達成できそうか、をできる限り具体的に見積もってみることを一緒にやらなくてはなりません。

この場面で、具体的な方策が思いつくこともありますが、思いつかないかもしれません。

たとえ、どうしたらよいか思いつかないとしても、難易度の感覚が共有でき、そのことを通じて一人で漠然と考えていた時よりも、目標を再認識できることの意味は大きいのです。

アメリカの組織心理学者エドウィン・A・ロックが提唱した「目標設定理論」では、目標の設定の仕方によって人間のモチベーションは左右されると考えられています。

設定された目標そのものを、本人が納得して受け入れることができていた場合が前提ですが、困難な目標であればあるほど、明瞭な目標であればあるほど、個人のパフォーマンスや仕事意欲は向上すると、ロックは主張しています。

特に目標の明瞭性は重要です。

目標の明瞭性というのは、「仕事の意義と目標の明確さ」「目標の具体性」という意味です。

2.期待を思い切り伝える


部下が、チームにとって必要な人材であることを認めていること、そして目標達成のために支援を惜しまないという気持ちをよく伝えます。

可能であれば、目標の意義や根拠も再確認できるとよいでしょう。

このプロセスは、時間と手間を惜しまず、行う必要があります。

3.フィードバックに励む

目標達成の結果が出るまでのプロセスの中で、本人の行動に対してできるだけマメに「反応」をフィードバックします。

できている些細なことを探しては、「言葉にして認める」ということを繰り返すことが重要です。

この「できていることを認める」ことを、単に「褒める」という言葉で、本人を気持ちよくさせてやる気を出させることととらえてしまいがちです。

しかしながら、そうではなく、これらのことは「行動」と「結果」の随伴性をつくりあげることにつながります。

随伴性と学習性無力感について

「随伴性」というのは「自分の行為が望む結果に結びつく」という意味です。

「行動と結果の随伴性をつくりあげる」というのは、部下が「“こういう行動を取ればこういう結果が出る”という因果関係を意識した上で、意思を持って行う」状態に持っていくということです。

途方に暮れて何をどうしていいか分からなくなっている部下に対して、上司がやるべきことは、小さな成功体験を積み重ねること。

こまめなフィードバックによって、小さな成功の認識を積み上げることによって、行動と結果の随伴性を積み重ねていく、ということなのです。

ちなみに、自分が努力してもどうしようもないという経験を積み重ねると、その結果「何をやっても無理」という教訓のようなものを学習してしまいます。これを心理学では「学習性無力感」と言います。

「無力感」というのは、環境や経験から学習するものであるということを、心理学者のマーティン・セリグマンは実験で発見しました。

社員にとって上司というのは、自分に大きな影響を及ぼす環境のひとつですから、この学習性無力感に陥ることのないように手助けをする必要があるわけです。

上にも書いたように、「行動と結果の随伴性」を意識させるように語りかけていくことが必要です。

「今回このことがうまくいったのは、・・・・・という行動の結果だよね」などと、行動と結果の結びつきを確認するようなコミュニケーションを取る、ということです。

ところが現実は、うまくいかなかったことに着目し、それらをあげつらった上に「だからお前はダメなんだ」と、学習性無力感のダメ押しになるコミュニケーションをしている上司は少なくないのです。

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