課長の最も大事な仕事~実務編

今野誠一のblog

組織ラジオ第209回で話された「課長の最も大事な仕事~実務編」について、記事にしました。

ラジオの文字起こしではなく、オリジナル記事となっていますので、ラジオでの話と一部違いもありますが、これはこれで味わっていただければ幸いです。

「課長」にとって、二番目に大切な仕事は何か

前回、課長として最も大切なのは「部下のモチベーションを管理する」という仕事だということを書きました。

二番目に大切なのはどういう仕事だろうと考えましたが、迷いました。

最初に思い浮かんだのは「情報伝達のキーマン」としての仕事ということでした。

「経営情報」は、社長から下に流れて、課長を経由して一般社員に伝わります。
逆に「現場情報」は、メンバーから上に流れて、課長を経由して部長、役員といった幹部に伝わり、内容によっては社長に伝わります。

上下からの情報の交わりは「課長」です。

DXの活用で、一番下から(上から)上まで(下まで)、一足飛に伝わる仕組みにはなってきましたが、データや文字面では伝わらない熱量や思いの類は、どんな時代になっても人を介する必要があり、とりわけ課長が経営情報と現場情報を、自分の言葉で熱量を持って伝えていく仕事は、ニ番目に大切ではないかと考えたわけです。

組織ラジオでこの話をしている中で、相棒の高野氏から、『そうしたコミュニケーションも大切だけど、その前に、モチベーションが人のマネジメントだとすると、相対して「実務のマネジメント」が次に大切なんじゃないか』という提起がありました。

「なるほど」

そう言われればそうだ。さすが高野氏、いいこと言うなと思い直して、実務のマネジメントについて考えてみることにしました。

「ルーティンワーク」を進化させること

ピーター・ドラッカー氏は「経営管理の96%は定例の反復業務だ」と言っていましたが、そう言われればそうですね。

往々にしてこの「ルーティンワーク」というものは、繰り返し仕事として当たり前にあるもの、でき上っていて繰り返せばいいものと軽視しがちなのではないでしょうか。

課長として問題意識を持っているか?と問いかけてみた方がいいですね。

ルーティンワークの業務フローに課長が直接参加して、より生産性が上がるように変革していくことを、皆さん積極的に気合を入れてやっていますか?

仕事がやりやすいように、ちょっとした改善は担当者でもできますが、生産性を向上させるような抜本的な変革は、メンバーと違う視野と視点と視座を持った課長の関わりが必要ですよね。

「自主性を重んじる」と言えば聞こえがいいですが、仕事のやり方を抜本的に変えることまで、メンバーに丸投げでは責任放棄になるでしょうね。

生産性の向上を意図した業務フローの見直しは、「将来の利益づくり」とも言える重要な仕事なのです。

現在の利益づくりはメンバーの仕事ですが、将来の利益づくりは管理職の仕事ですよね。

客先での情報に直接触れる

一方、顧客接点のある課の場合は、また別の観点が必要かもしれません。

メンバー(担当者)の情報を鵜呑みにせずに、顧客接点で起こっていることを直接把握することが、時によっては必要です。

営業マンと頻繁に同行して監視せよ、と言っているわけではなく、取り扱っている商品にそろそろブラッシアップが必要なのでは、と感じているような場合には、目の前の営業に夢中になるのではなく、お客様の声に直接触れて、商品のブラッシュアップポイントを見極めることが必要になるでしょう。

お客様から同じ話を聴いたとしても、視点が違うと受け取り方が違ってくるものです。

担当者を信用するかしないかという話ではなく、ここぞというタイミングでは、自分の目と耳と感性で現場の、お客様からの情報を確かめることが重要です。

同行が多いと、監視されているようで営業マンから嫌がられるかもしれませんが、監視ではなく「観察」を直接することが重要なのだと考えてください。

DXを活用しての間接情報で、現場情報を分かったつもりになっていないかを自戒する必要があるかもしれません。

情報の察知と共有が道具を使って手軽にできるようになった今だからこそ、アクティブに動き回る課長が必要なのだと私は思います。

営業部門の例をひいていますが、このこと(課長が現場情報に直接触れる必要がある)は、管理部門の仕事でも同じことが言えるように思います。

例えば、昨今当たり前に行われている「従業員満足度調査」の類は、集計されたデータを見て、従業員の気持ちが分かったつもりになることは、非常に危険なことではないでしょうか。人事部門の施策にデータが説得力を持っていることに違和感を感じているところです。

参考データにすることに意味がないとは言いませんが、人事課長さん(人事部長さんも)は、常に社員の声に直接耳を傾けて、データの裏に隠れているものを探る努力をすることを忘れてはなりません。

未来に目を向けること

組織ラジオで、こんな話をしている中で、相棒の高野氏が重要な気付きを共有してくれました。

彼が言うには、課長にとっての「人のマネジメント」に関しても、「業務のマネジメント」に関しても『未来志向が重要』という点が共通点ではないか、と。

なるほど、さすが高野氏は鋭い。この鋭さにおいて、一目置いております。

前回の部下のモチベーションマネジメントを考える時に、「メンバーを知ることが大事」という話になりましたが、現在の彼、彼女を知ることも大事だが、「将来どうなりたいか?」「未来にどんな展望を持っているのか」を知ることがとりわけ大事だという話になりましたね。

なるほど、これは未来志向ですね。

そして、今回の業務マネジメントにおいても、大事なことは「未来の利益づくり」を意識することだという話がポイントだったかと思います。

「未来志向」の重要性をあらためて嚙み締めることになりました。

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